Zama talk

2013年12月18日
「製品評価およびマーケティング調査における認知神経科学的アプローチの可能性」 関根 崇泰 氏
 第1104回 マーケティング創造研究会
日 時 2013年12月18日(水)14:30~16:30
テーマ 製品評価およびマーケティング調査における認知神経科学的アプローチの
可能性
講 師 株式会社センタン 専任研究員 関根 崇泰 氏

 今回は、認知神経科学(脳科学)に基づいたマーケティング・コンサルティングサービスを
行っている㈱センタンの関根研究員をお招きして、「製品評価と調査等について、脳計測に
よってどのようなことが分かるようになってきたか」についてご解説頂きました。
(実際に脳機能計測装置を会場に持ってきて頂き、ご希望者には実際にご体験頂きました。)

<なぜ今脳科学(認知神経科学)なのか> ―研究科学・マーケテイングの視点から―
 ・従来の調査とは異なる方法で消費者の嗜好等を知りたい。
 ・調査の精度を高めたい。
 ・消費者の意思決定(購買決定)に至る途中経過を知りたい。
 ・新商品が人の認知機能や脳の働きに与える影響を知りたい。
 ・脳科学的知見に基づく新しい商品やサービスを開発したい。

<アンケート、グループインタビュー等の調査による言語報告はどこまで信頼できるのか?>
 ・ヒトは後付で考える。
 ・言語報告で意思決定時の内観・理由を知ることは困難。
 ・ジャムの味見において選択盲が生じる。
 ・高いワインは美味しく感じる(実際は同じワインなのに!)。
 ・コークとペプシの実験(ブランド名を知らせない場合と知らせた場合)。

<脳の報酬系>
 ・うま味と報酬系―脳内にうま味の神経基盤があり、うま味により報酬系が活動する。
 ・車の魅力度と報酬系の活動―スポーツカー、高級乗用車、スモールカーについての魅力度を調査。
  →腹側線条体の活動強度と好みの間に相関があった。
 ・人の脳の報酬系は食べ物や飲み物だけではなく、お金、音楽、スポーツカー、ブランド等
  文化的なモノにも反応する。
 ・商品の魅力度やおいしさ等の満足度、ブランドへのロイヤリティは報酬系の活動として
  評価できる。

<欲しい(wanting)と好き(liking)は違う>
 ・欲しい(wanting)のシステムを破壊しても甘いものを食べさせると美味しそうな表情をする。
  (likingのシステムは働いている。)
 ・wantingの脳内システムとlikingの脳内システムの説明。
 ・商品・サービスの魅力度を高める(好きになってもらう)。
  →最終的に購入してもらう。(欲しい、買いたいとおもってもらう。)
 ・この2つのシステムは別個に存在し、互いに影響を与え合っている。
 「好きになってもらう」ことと「欲しいと思ってもらう」ことには異なるアプローチが必要なのかもしれない。

 いま科学分野での大きな課題として脳科学(認知神経科学)の研究が世界各国で活発に行われて
います。いままで人間行動の謎、消費者行動の謎と思われていた事柄も脳科学(認知神経科学)研究
によって次第に解き明かされつつあります。こうした研究によって将来は、マーケテイングの世界でも
新たな「消費者行動・マーケテイング論」の体系が出来てくるかもしれないという予感を持ちました。
 

(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)


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