Zama talk

2017年03月16日
「マーケティングのツールとして考える知的財産」杉光 一成 氏
 第11703回 マーケティング創造研究会
日 時 2017年03月09日(木)14:30~16:30
テーマ マーケティングのツールとして考える知的財産

講 師
 KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院) イノベーションマネジメント研究科 教授 杉光 一成 氏


今回は、杉光一成氏(金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授)を
お招きして「マーケティングのツールとして考える知的財産」についてご解説頂きました。

(主な内容)

(1)知的財産の基礎知識
(2)マーケティングと知的財産の不思議な関係
(3)RSTP・4Pと知的財産の関係
(4)知的財産部門の機能の最近の変化とマーケティング部門との新たな関係性




まず最初にドラッカーの言葉として「マーケティングの目的は、セリングを不要に
すること」、つまり“自然に売れてしまう状態”を実現することがマーケティングの
理想の状態であるという意味合いから、1960年当時、世界初の普通紙のコピー機で
あったゼロックスの事例が紹介されました。
このコピー機を使うには顧客の方からゼロックス本社を訪れなければならないほど
であったという。そしてそのような状態を実現できたのは約600件の特許のお蔭だった。
ゼロックスの鉄壁の特許網により、どの企業も普通紙のコピー機を製造できなかったため、
ゼロックスの完全な独占市場だったのである。

そして「既存市場の維持と拡大及び新市場の創造」がマーケティングの目的である
という前提で、知的財産権を活用したマーケティングについてお話し頂きました。

まず知的財産権には、自社製品市場への他社参入を抑制するツールとしての機能
(市場参入抑制機能」がある。

また、知的財産法で保護されたイノベーション(技術的アイデア・デザイン等)や
ブランドを模倣する形で、他社が実際に市場に参入してきた場合には、
強制的に排除する(市場排除機能)こともできる。そうした意味でマーケティングの
目的達成にとって、知的財産権は極めて有益かつ強力なツールと言えるだろう。

しかも、知的財産の情報、特に特許情報は、一般に公開されており、技術の視点から
見た競合企業の動向を明らかにする。研究傾向がわかるし、経営戦略もわかる。
(産業スパイ代わりになる)

知的財産権をツールとして活用した事例として、防水透湿素材のゴアテックス、インテル
でのヒアリング、ダイソン、GSKグラクソスミスクライン等をご紹介頂きましたが、
特にマーケティング部門と知財部門が対等の立場で一緒に戦略会議をすすめていくことの
重要性を強調されました。





(マーケティング共創協会 座間 忠雄)


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