第1098回 マーケティング創造研究会 | |||||
日 時 | 2013年9月25日(水)14:30~16:30 | ||||
テーマ | 『成功するブランドはどうやってできるのか~ブランド構築戦略の構造と実例~』 | ||||
講 師 | 講師中央大学ビジネススクール 教授 田中 洋 氏 |
▼ブランドとはそもそも何なのか?
田中先生は、次のように結論づけされました。
・ブランドとは、顧客の“知覚”である
・ブランド戦略とは、ブランド価値を高めるために行う企業活動である
・高いブランド価値をもったブランドを構築するためには、イノベーションが必要である
・イノベーションを持続させ、よりブランド価値を高める活動を行う必要がある
その内容として、まずブランドには3つの次元のものがある。
1. 資産としてのブランド……企業レベル ブランドエクイティ
2. 記号としてのブランド……社会レベル 社会・文化的に共有化された情報としてのブランド
3.知覚としてのブランド……消費者レベル 消費者がアタマのなかにもつ認知システムとしての知識
興味深かったのは、ブランド生成の根底にはイノベーションがあるということ。
そしてイノベーションとは、顧客にとって新しくて良いこと
⇒顧客行動パターンを変容させることである。
更に興味深かったのは、初期のイノベーションが市場に受け入れられ、事業が発展する
⇒ブランドの起源としてのイノベーションは忘れられる
⇒評判が自立して、“有名であるから有名である”という構図ができあがることである。
▼しかし、更なるイノベーションが継続しないと、ブランド価値は減損してしまう。
それではブランドパワーの源泉になるものは何か。
田中先生は<3Mモデル>として、
1.コミュニケーション戦略(Messaging)
2. マーケティング戦略(Marketing)
3.経営戦略(Management)
を挙げる。
そしてこれら1.2.3.は、それぞれの次元からブランドのパワーアップを可能とする。
▼最後にアキレスの「瞬足」、錆びついたネジが簡単にとれる「ネジザウルス」、
星野リゾートの事例をご紹介頂きました。
日頃、私たちはブランド価値とかブランドイメージとかいう言葉を何気なく使っている
感じですが、ブランドとは一体何だろうか、それはどのようにして形成されていくのか、
ということが、田中先生のわかりやすい解説によって頭の中に整理されたように思いました。
またブランド形成のためにはイノベーション(消費者にとって新しくて良いこと)が必要
ということは、今後ますます脳科学の知見や消費者の無意識を洞察する能力や感覚、
更には∞(無限)アイデアの発想力が必要になってくるようにも感じました。
(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)