第1102回 マーケティング創造研究会 | |||||
日 時 | 2013年11月28日(水)14:30~16:30 | ||||
テーマ | 「リ・インベンション ~概念のブレ-クスルーをどう生み出すか」 | ||||
講 師 | 神戸大学大学院 経営学研究科 教授 三品 和広 氏 |
今回は、神戸大学大学院経営学研究科教授の三品先生をお招きして、経営戦略の視点から
商品開発、マーケテイングについてお話し頂きました。
三品先生によれば「イノベーション」とは、前に出した物よりもよくなっていることを
追求することであり、延長線上の進化を目的とする。
それに対して「リ・インベンション」とは、パラダイムを変えることである。
そのためには根本に立ち戻って考えること、哲学することが求められ、そのことによって
"概念のブレークスルーが生まれる"。
日米の企業間における大きな違いは、その利益率である。
アメリカは日本の2倍の利益率をあげている。それは何故か。
日米の違いの大きなひとつは「長寿商品」があるかどうかである。
アメリカではP&Gの石鹸「アイボリー」やケロッグの「コーンフレーク」その他、風邪薬、
のど飴、シリアル、チョコレート、歯磨き、歯ブラシ、おもちゃ等々日用品の長寿商品が多くある。
それに対して日本企業は新製品を多大なコストをかけて開発し、販売し、多大な費用を投じて
ブランド知名度を上げても、消費者に更に喜んでもらうためにと考えて、古いブランドイメージを
刷新してしまう。信じられないことである。
あるいはさらに消費者に喜んでもらうためにと、現製品の改良版を次々に出して行く。
アメリカ企業は、そういうことはやらない。日本企業のように本来、ライフサイクル的に枯れている
ものにしがみつくのではなく、全く新しいことに目をつけていく。
では日本企業がリ・インベンションするためにはどうしたらいいのか。
①人レベルのクリエイティブを尊重する。
②成長主義をやめる。目的は世の中の人に喜んでもらうことである。
③イノベーションはボトムアップであるが、リ・インベンションはトップダウンである。
みんなでブレーンストーミングをしても物事はなかなか一致しない。
ツギハギの結論が出がちである。
④皆さん方が意識、考え方を変えれば会社は変わる可能性がある。
事例としてコペンハーゲンの自転車用ヘルメット(女子大生2人が開発)、タカラトミーの
ベイブレード、スティーブ・ジョブズの商品開発その他をおり込みお話し頂きました。
今後日本企業が成長路線を歩むにはどうしたらよいのか、またマーケターは何をするのか。
「商品寿命を長くする」、これがマーケテイングであり、価格も落ちない、売り上げも落とさない。
水平飛行を維持して行くこと。
大変示唆に富み、かつ考えさせられるお話でした。
(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)