第1113回 マーケティング創造研究会 | |||||
日 時 | 2014年6月19日(木)14:30~16:30 | ||||
テーマ | 「社内の壁を乗り越えなければ、ヒット商品は生まれない ~三菱電機の開発事例をベースに~」 | ||||
講 師 | 株式会社 アイ・キューブ 代表取締役 広野 郁子 氏 |
多くの商品分野において商品の基本的価値機能が限りなく満たされている現在、
顧客も「気づいていない」あるいは「この商品はこういうものなのだ、
とあきらめている」潜在ニーズを直観し、洞察する力が商品企画者には求められて
います。
今回は、三菱電機(株)において「切れちゃう冷凍」「蒸気レス炊飯器」等の
ヒット商品を担当され、現在は起業したマーケテイング会社で商品企画支援を
行っている(株)アイ・キューブ 代表取締役の広野郁子講師をお招きして、
メーカーの内部と外部の両方で関わってきたからこそ見えてきた「ヒット商品を
生み出すコツ」「現代マーケターとしての商品企画者の役割」等についてお話し
頂きました。
・説得から共感の時代へ
・消費者に「買いたい気持ちにさせる」価値づくりができていない
・価格軸で判断されない価値軸をつくる
①「切れちゃう冷凍」~冷凍なのにすぐ包丁で切れちゃう
・社内の女性に参加してもらってグループインタビューする
・いままでのモノから目線・・・冷やす技術の開発
・消費者目線・・・「主婦の時間を創る」・・・冷蔵庫の定義の見直し
・生活者の潜在ニーズを顕在化させる技術開発
②蒸気レス炊飯器~蒸気の出ない炊飯器
・「蒸気に不満」はわかっていた
・蒸気が出ないから、連続激沸機能で美味しく炊けます
・家電評論家が「新しいライフスタイルを提案する炊飯器」と位置付ける
・「炊き上がりのおいしさ」訴求がもっぱらだった市場に、置き場所の
自由度が広がる炊飯スタイルを提案した
①スペック向上へのこだわり
・開発現場と生活の場のギャップ
・モノの外に目を向ける
②業界・作り手の思い込み
・プレゼン資料・方法の工夫
・社内プロジェクトの活用
③定量神話
・データだけでは生まれてこない
・しかし、社内説得のためにデータは必要になる
・「私が」しあわせになれるイメージ発信
・主観的価値が共感を呼ぶ
・主観的価値は「共創」でつくるしかない
ご紹介頂いた開発事例はちょっと時間が経っていますが、技術的な
モノ作りよりも消費者が共感する価値作りが切に求められている現状に
おいては大変示唆に富むお話でした。
まさにメーカーの内部と外部の両方に関わってこられた広野さんならでは
のお話だったと思います。
(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)