Zama talk

2014年06月05日
「若者消費論 ~ケータイ世代とスモールライフ~」原田 曜平 氏
 第1113回 マーケティング創造研究会
日 時 2014年6月5日(木)14:30~16:30
テーマ

若者消費論 ~ケータイ世代とスモールライフ~

講 師

株式会社博報堂 博報堂ブランドデザイン 若者研究所 リーダー 原田 曜平 氏


今回は、2005年頃から今日までのべ1000人以上の若者たちに膨大な
定性インタビュー調査を実施され、彼らを「さとり世代」「マイルドヤンキー」
と命名し、著書やTV出演で注目されている株式会社博報堂 博報堂ブランド
デザイン若者研究所リーダーの原田講師をお招きして、いまの若者は日々
何を考え、どのように生活しているのか、若者たちの生のコトバやリアルな
感覚をもとにご解説頂きました。

 

 

(主な内容)

近頃の若者の変化要因

 

(1)不景気が前提で生きてきた戦後最初の日本人だから


①バブル崩壊後に生まれた、或いは、バブル期の記憶がない
昨今の若者たちは、「放っておくと自分の生活レベルが落ちてしまう」
という感覚で生きていて、この点が上の世代の人間とは決定的に異なる。

②結果、今の若者は、「未来への不安感」と「超安定志向」に陥っている。
 

(2)ケータイの普及と一緒に育ってきた初めての日本人だから


①幼い頃から若者がケータイを持つことによって、メアド交換やSNSで
つながることで、若者たちの人間関係数が拡大し、つながり過ぎている。

 

(3)結果、①過剰な気遣い②監視社会➂既視感が若者たちの間に生まれた。


①過剰な気遣いとは、KY(「空気が読めない」という若者言葉)に代表されるように、
好きな人でも嫌いな人でもつながるケータイ社会におけるその場に合わせる、
場を乱さないというお作法(同調志向)のことである。

②監視社会とは、ケータイによる人間関係数が増えたことで、出る杭を打ったり、
陰口、噂話、デマ等々が多いという意味である。

➂既視感とは、氾濫する口コミ情報により、体験したこともないのに体験した
気になったり、見てもないのに見たような気になり、結果として行動力や好奇心が
削がれてしまう状態のことである。


(4)結論として、若者たちの間で「現代版村社会」が生まれている。



(まとめ)


① マイルドヤンキーは、相対的に、郊外、地方、低学歴、低所得の人に多い。
②地元が好き
➂地元友達(中学生時代からの)
④親と仲がいい(自宅が居心地がよくなっている)
⑤たばこ、車、バイク等々若者が消費から離れてしまったといわれる中で、
その点に関する温度、消費額が他の層に較べると多い。
⑥大好きな所は大型ショッピングモール(イオン、ドンキホーテ等)
⑦情報リテラシーが比較的低い人が多い。TV大好き、マスコミが効く
⑧地縁を大事にする






原田講師のいうマイルドヤンキーが若者のすべてとは言えないものの、
「答えは生活者の中にある」という視点から、徹底的に質的調査、定性調査に
こだわり、「生のコトバを集める」と全体像が見えてくるというお話にはリアル感が
ありました。バブル時代までの消費を牽引してきた若者層とは大分違うということを
感じました。

若手の社会学者として活躍している古市憲寿氏は協会定例研究会のなかで
「ムラムラする若者たち・・・ムラ社会に生きる、消費の自己実現から
コミュニケーションによる相互承認の時代」と述べ、松田久一氏(ジェイ・エ ム・
アール生活総合研究所代表取締役社長)は著書「ジェネレーショノミク ス」の中で
世代論から日本経済の今後を論じています。

消費者行動論においても世代の視点、ライフスタイルからの視点がもっとあっても
よいのではないかとも思いました。

(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)


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