第1139回 マーケティング創造研究会 | |||||
日 時 | 2015年7月29日(水)14:30~16:30 | ||||
テーマ | 「現状打破する思考技術 ~アナロジー思考を体感する~」 | ||||
講 師 | 法政大学大学院 経営学研究科 教授 矢作 敏行 氏 |
昨今NBとPBがデュアル化(二重化)し、新たなブランド間競争が発生しています。
今回は、流通論研究者として著名な矢作敏行先生に「デュアル・ブランド戦略と
NBメーカーの対応」についてご解説頂きました。
・各国の食品系小売業における上位4社市場集中度とPB比率
→22カ国の中で日本は一番低い・・・なぜか
・欧州6カ国と日本における主要カテゴリー別PB比率
→イギリス40.8%、スペイン40.6%・・・日本7.5%
・イオンの三層構造+α PBプログラム
→価格訴求型・標準型・品質重視型
・1960年代(PB萌芽期)
・1970年代(PB挑戦期)
・1990年代(PB出直し期)
・2000年代(PB本格成長期?)
・ダイエー「バレンシアオレンジジュース100」の開発輸入プロセス
→大ヒットしたが、すぐブームが終わる。
→PB開発のパラドックス
・セブン‐イレブン・ジャパンの集団的商品開発組織
・PB開発に必要なテクノロジストの存在
→商品開発技術、パッケージデザイナー、顧客管理
・食品メーカーとセブン‐イレブンの取引多次元化のパターン
→独立系中食・惣菜メーカーの場合とNBメーカーの場合
・ブランド競争の類型
→ブランド間競争とブランド内競争
・デュアル戦略の5類型
→販路確保型
→ダントツNO.1指向型
→NB・PBすれ違い型
→NB・PBシナジー効果型
→チャネル別棲み分け型
「なぜ過去の日本におけるPBブームは一過性に終わったのか」「現在のPB戦略は
いままでのPB戦略とどこが違うのか」というお話から、「NBとPBの競争と共存可能性」
についてご解説頂きました。
特にPB開発のパラドックス・・・
(1)独自の価値の提供と、(それだけではなく)
(2)他社がすぐには模倣できないシステムを作る
・・・という基本理論は「なるほど!」と思いました。
セブン・イレブンが大いに成果を上げている理由が分かりました。
最後に「デュアル戦略の5類型」のお話がありました。その中の
「ダントツNo.1指向型」のカルビー・ポテトチップ、キューピー・マヨネーズは、
NB・PB共に制覇しているのはすごいな!と感じました。
またNBには価格プレミアムがつくので広告をケチッてはダメ、というお話もありました。
NBメーカーはデュアル・ブランド時代の中で自社商品のブランド・イメージを
消費者の頭の中にますます強める戦略が求められていくのだろうと思いました。
(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)