第1144回 マーケティング創造研究会 | |||||
日 時 | 2015年10月28日(水)14:30~16:30 | ||||
テーマ | 「顧客になぜと聞いてはいけない:本質直観から考えるマーケティングリサーチ」 | ||||
講 師 | 首都大学東京 大学院 社会科学研究科 経営学専攻 准教授 水越 康介 氏 |
今回は、「本質直観から考えるマーケテイングリサーチ」について首都大学東京
大学院准教授の水越先生にご解説頂きました。
・なぜ、なぜと聞いてはいけないのか?
・聞くべきは相手ではない。自分の側にある。
・本質直観という方法を応用する
・『りんごかもしれない』という本
・「コップ」とは何か知っていますか?→コップに対する認識
・無印良品の「照明ランプ」の例
・外部世界に答えを求める→内側に答えを求める
・ビッグデータは消費者のビヘイビア(行動)を見るまでの手法であり、
アティチュード(態度・行動の理由)を知ることも重要(フィリップ・コトラー)
・フッサールの現象学的還元とほぼ重なる
・客の正しさは確かめようがないので、ひとまず、それをあれこれ議論するのはやめて、
主観の根拠をたどる
・「直観補強型思考」から「直観検証型思考」へ
・どうして、私は、その直観を得ているのかを問い直す
・客観(外部の根拠)に訴えるのではなく、自分のうちを遡る
・自身の確信を成り立たせている、日常の常識を捉える
・本質直観を行うことで、リサーチとして大事な3つの点が見えてくる
・定性調査も定量調査も一つの「事例」として考える
→その事例にどれだけ「?!」と思えるか
・当たり前だと思っていたことを問い直すことで、自分たちが持っていた
カテゴリー像:類の刷新を試みる(新カテゴリー創造)
フッサールの現象学では、事象の確からしさをいかにして確信するかという問題
が考察され、そうした確信を捉える方法として「現象学的還元」と「本質直観」が、
提示されています。現象学的還元とは、主観の外に客観的な事物や世界が存在して
いるかどうか、またそれがいかに在るかについては一切考えないとすることを意味
します。この際、「エポケー」と呼ばれる判断停止状態が大事になります。
一方で、本質直観とは自分の知覚体験に注目し、その体験から得た確信を問い直す
ことによって、正しさを確かめたり、付け加えたりすることを意味します。
そしてこの二つの考え方を用いることで、現象学はどの主観にも共通する本質を探り
出していくことになります。
定量調査や定性調査をあくまでも一つの事例として位置づけて、自分自身の本質
直観を重視していく、これからのマーケター(商品企画担当者)の発想とあり方を
鋭く見据えたお話でした。
(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)